"良い医師”って?
“良い医師”ってどんな医師だろう?
頭がいい、手術がうまい、まずはそんなキャラクターが思いつくのではないでしょうか。
実際、私も医学生の時から医者になった直後まで、そのように考えていました。
ところが、ある医師との出会いでそのような考えが変わることになりました。
心から敬愛している私の師匠。
今まで会った医師の中で、私が最も尊敬している人です。
某有名大学出身、誰にでも優しく、人の話を良く聞き、ソフトな語り口、どんな時も冷静で、決して声を荒げない、手術も上手で、毎日夜遅くまで働き、10時間以上もかかる大手術も平然とこなす無尽蔵の体力、趣味より仕事、自分のことより患者さんや他の医療従事者のことを優先、お金儲けも考えない、治療が終わったら患者さんの返事を必ず紹介先へ書いて送る、人の悪口を言っているところを見たことがなく、人に優しく自分に厳しいなどなど、師匠のことを語ると枚挙にいとまがありません。
だから、師匠は患者さんから信頼されていたし、色々な病院の先生から紹介を受けていましたね。
そんな師匠に、自分が医師になりたての時に出会えたことは、本当に幸運、ラッキーでした。
師匠が、私に教えてくれたことを挙げるとキリがないのですが、その中で私にかけて下さった忘れられない言葉があります。
『医は仁術、故に、良き医師たる前に、良き人間たれ』。
「知識や技術、財産や名誉を追求するより先に、まずは人格者になりなさい」と、師匠はそう諭してくれましたね。
私の考えは間違っていました。
ただ、手術が上手ければいいわけではない。
ただ、頭が良くて色々なことを考えられればいいわけではない。
師匠は、普段の私の行動や発言を見て、私の考えの過ちを看破していました。
それから私は、自分が何もできないことを自覚し、自分が至らないことを反省し、師匠が私にとって、医師としての目標、ロールモデルとなりました。
しかし、今の自分を振り返って見てみると…
イライラしてしまったり、陰口叩いたり、楽をしようとしたり…先生のような人格者には全くと言っていいほどなることができておりません。
手術手技にしても、基礎から応用、作法や行儀に至るまで教えていただきましたが、先生のようにはうまくできないことも未だに多く…。
人格、手術手技、その他諸々、師匠にはまだまだ程遠い状態です。
しかし、少しでも師匠に近づけるように、良き人間となれるように、日々是精進、人格形成に努めていければと思っています。
超多忙なのに、未だに離れた北海道にいる私の相談に色々と乗ってくださり、手術のポイントをメールで教えてくださり、その他いろいろ、面倒見がとても良いので、ついつい甘えてしまっていることをお許しください。
posted by 三樹会病院 at 09:40|
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